絵本「ゆきしろとばらあか」

| 2010年8月28日土曜日


絵本グリムシリーズ3冊目「ゆきしろとばらあか」(那須田淳:訳)の見本が出来上がってきました。
今回は原画の色とあえて違うページもあります。
原画では、全体にもう少し濃くしてみたいと思っても、塗ってしまって良くなくてやり直すのは大変ですが、色校正だと思ったより濃く出て,それが面白い効果になっている場合があるからです。
ベストなのは、原画より印刷の方が良いと思える絵本が出来上がる事。
原画はもっのすごい色数を使っているので、4色で刷る印刷では自ずと限界があるけれど、それでも印刷の方が奇麗かも・・と思えるページに出会えることもあり、最近は印刷することで新しい絵を作り上げるのだと考え、以前ほどのストレスがなくなった気がします。
グリムでも、この物語は知らない方もいらっしゃるのでは?
私も初めて読み、とても気に入って描いてみたいと申し出たお話です。
とにかく、主人公二人の女の子が優しくて良い子で可愛い☆
そして小人が滑稽で可笑しくて読みながら思わず突っ込み入れたくなる。
(下絵:鷲に連れ去られそうになり世にもあわれな悲鳴をあげる小人)


「星夜行」

| 2010年8月5日木曜日
「星夜行」(北森みお作、パロル舎刊)の見本が届きました。
パロル舎さんから、私のサイトの版画のリトグラフのイメージでどうでしょう?という打診のもと、試行錯誤して作り上げた絵です。このやり方は面白く、味しめた感があります。
しかしデザイナーさんや編集者さんが私の仕上がりイメージをもとにデータ訂正したり色指定してくれたからこそというところがあり、自力でできるのか・・・・(´〜`)。

お話は独特な世界で、文章の美しさに引き込まれました。
北森みおさんは広島ご出身だそうで、原爆の日8月6日に、様々な想いを抱え亡くなっていった方達・・・・その悲しみをトラムが静かに乗せ運びます。研ぎ澄まされた言葉の中に実際原爆で亡くなられた一人一人の心がひしと感じられて切なく 胸を打ちます。
アマネくんやコナギさんなど美しい名をもつ登場人たちの星夜行、「銀河鉄道の夜」を想起する不思議で神秘的なお話でした。
最後に地図もあってトラムの辿った軌跡を再確認できます。個人的には青白い燐火光る星玉工場に降り立ってみたいと思いました.・..★.・...