小さな印刷屋さん

| 2010年7月25日日曜日
先日、パロル舎さんから書籍表紙の色校正をその場でやりましょう、と誘われ家族経営の小さな印刷屋さんに行ってきました。
それが私にとって感動的で、四角なお好み焼きを焼く台みたいなところに、ちょろっと絵の具を数種類出してさくさく混ぜ合わせ、あっという間に特色を作り出し「指定の色とずいぶん違う」と感じたその色は、試し刷りをみるとばっちり!これぞ職人さんの神の手。
3版特色刷りなので「この版はもう少し緑を足してみよう」など細かい指示をすると、又ちょこっと色を混ぜてあっというまに試し刷りが出来上がる。
まるで、印刷というより、版画を創る工房みたい。楽しい〜☆
そんなこんなで午前中が終わると、奥様に(70代だそうです。ご主人と息子さんで印刷してました。)「お昼ですよ」って2階に通されて、普通に皆で手作りのお昼をいただき、途中、お孫さんが帰宅されて野球の話などして、親戚の家に行ったみたいに寛ぐ・・・・
あれ?私何しにきたんだっけ?あ、そうだ色校正。
パロル舎刊の小林敏也さんの美しい宮沢賢治もの作品は皆この印刷屋さんから生まれたそう。刷りの際は何泊か泊まっての作業だったと伺い、やはり印刷所じゃなくて版画工房なのだな・・・・リトグラフを創り出してるみたいな感じなのだなと思った。
こういう印刷屋さんが無くならず代々技術が受け継がれ続いてくれたらいいなあ..
可愛かった野球少年のあの子、後継いでくれるといいな・・・・など思った一日でした。
下絵は扉の原画 8時15分で壊れてしまった時計。
そう、それは広島に原爆が投下された瞬間。

「ゆきしろとばらあか」入稿

| 2010年7月22日木曜日
入稿の日に、大きな間違い発覚。文章にはゆきしろがはさみを持っているとちゃんと書いてあったのに、私のおおなぬけなミスで、ばらあかにはさみを持たせてしまった
(ブログの6月28日に証拠が・・・・(-_-;) )。
那須田さんが発見下さったのですが、優しい方で文章を直すのは全く構わないが、ここでゆきしろがはさみを持つというのはとても意味のあること(おとなしかったゆきしろが少しずつ強くなっていくという表現)だそうで、どうしても直すことができないのです、と大変ご丁寧なご指摘、有り難い限りです。
油絵で描き直していては到底間に合わないのでここはアクリル絵の具で、以下のように直しました。
ぎりぎりでも訂正できてよかった〜〜
ありがとうございます、那須田淳さま。
そしてこれから私にとって一番緊張する色校正が始まります。
(下絵:原画の一部)

「ピアチェーレ 風の歌声」

| 2010年7月8日木曜日
「ピアチェーレ 風の歌声」(にしがきようこ作、小峰書店刊)の見本が出来上がってきました。
このお話は第8回長編児童文学新人賞を受賞した作品です。
複雑な家庭環境の中で、様々な想いを抱きながら暮らす主人公嘉穂ちゃん。言葉を閉ざし心を閉ざし努めて平静に生きる中学一年生の嘉穂ちゃん。その様子が健気でいじらしく抱きしめたい気持ちになります。
でもそんな嘉穂ちゃんが声を歌にのせていくことで、気持ちを少しずつ解放していきます。
最後は美しく爽やかな読後感で、読みながらじんわりと嬉しさがこみ上げてきました。
声を創っていく様子(声楽)があまりにリアルだったので、当然にしがきさんは「歌を歌う」方なのかと思ったら全く歌いませんとのことでびっくり!それなのにこの臨場感!凄いなあと思いました。











北見葉胡公式サイト

グリム絵本「ゆきしろとばらあか」原画完成

| 2010年7月1日木曜日
今日私の手を離れた原画たち。
どうか原画の色がうまく再現されますように。

このごろ描いてる最中、職業病のように
「この色は印刷だと赤っぽく出るからこちらの絵の具を使おう」とか
「この色は奇麗に印刷されないから使うの辞めよう」
など、優先順位が「印刷になった時のことを考えて」
にシフトしている自分。
描きながら頭が疲れるという現象が起きている。
それでも皆様に見ていただくのは原画ではなく印刷物なのだから
なんとか自分が納得いく色を出したいと願う日々です。

下絵:小人を倒し呪いがとけた王子さまが、
ばらあかやゆきしろたちとお城に向かう所。原画の一部
(家来が運んでいるのは小人に盗まれた宝物)





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